収録(しゅうろく)とは、主にラジオドラマ制作時において、キャストによる音声を収録する段階のことを指す。 キャストの演技によってドラマの性格付けが決まる場所であると同時に、スケジュールの都合などでやり直しが困難な場合も多い。また編集の過程においては収録した音声がずっと使用される為、ラジオドラマ制作における最も重要な工程である。 !!!役職毎の注意点 !!キャスト 細かい事は気にせず、表現者としてのびのびと最高の演技を目指した方が良い。ただし、イントネーション、アクセントには注意{{fn シリアスなドラマで方言が出てくると脱力する}}。気になった点は遠慮なくPDやミキサーに確認しよう。 [[リップノイズ|ノイズ]]は口の開き方だけでなく体調によっても増えたり減ったりする{{fn 収録直前に食べ物や甘い飲み物を飲むのは避けるべきである}}。風防ではポップノイズ以外ほとんど防げない。[[ミキサー|ミキサー(役職)]]が編集時にカットしてくれる事も期待しつつ、完全回避は不可能であるが唇や舌の動きに気を遣おう。 !!PD キャストの演技がイメージに沿ったものかチェックしながら、共に最高の演技を目指す。キャストへの適切な助言が何よりも求められる。キャストやミキサーは脚本全体の像を把握しきれていないことも多いので、頭の中できちんとドラマ全体の流れや、[[SE|SE(略語)]]・[[ME|ME(略語)]]などを想定することが重要である。 また収録時間を考慮しつつ、ペース配分を考えることもPDの役割である。リップノイズはある程度回避不可能なので(以下略)だが、放置して編集時に何もできず泣きを見るのは大体PDだったりする。 何より重要なのは、PDのテンションが収録現場全体のテンションに影響するということである。良いドラマを作るために、PDは例え誰も気づかなくとも、メンタル的な努力を欠かしてはならない。 !![[ミキサー|ミキサー(役職)]] 細かい仕事は大体が[[ミキサー|ミキサー(役職)]]の役割である。 ::音量調整 :::音圧(耳で聞いたボリューム)及びレベル(機器に入力される信号量)がある程度一定のレベルになるように調整する。キャストによっては音圧とレベルが一致しないので、収録時は音圧優先で調整する事{{fn 音圧とレベルを一致させるのは編集段階でも可能}}。基準となる音量、小さ目の台詞の音量、大きめの台詞の音量と3パターン位予め基準となる音量を用意しておくと良い。後は脚本に各台詞毎のフェーダーのセッティングを記入しておくとスムーズに収録が進む。 ::音質調整 :::声の距離感を調整する。シナリオ上のリスナーとの距離感に合わせ、遠く、近くの2パターン位が再現出来れば良い。キャストのマイクとの距離を気にしながら指示を出そう。一般にリスナーとの距離感は低音の大小で表現できる為、遠くから呼びかける台詞などではイコライザーで低音をカットする。またキャストの声質によっても聴感上の距離感は異なる為、適宜イコライザーで補正する。電話等の特殊なシーンの再現は実際に電話を使ったり、各種エフェクトを使用したり様々。後からDAW上で行ったほうが微調整がしやすいが、収録段階で手を加えたほうが思い通りの再現がしやすい傾向があるため、状況に応じて使い分けよう。 ::ノイズ対策 :::可能な限りクリアな音質で録音される様に様々な対策を施す。キャストに腹から声を出せと祈るのが主な仕事。他には無○部の活動日と重ならない様に祈ったり、スタジオの電球がノイズを発しないように祈ったりする。祈ってばっかりか。部員によってはケーブルにこだわる者も。 !!!用語 ::シーン :::ドラマの脚本を、場面やキャストの入れ替わりによって分割したうちの1つを指す。 :::一回の演技時間が長くなると当然キャストのミスや技術ミスが起こる可能性も高くなるため、適度な長さで区切ることが重要である。 ::テイク :::シーンの収録を繰り返すときに、何回目の収録であるかを示す。収録開始時に「シーン2、テイク5」などとキャストが吹き込むことで区別する。 ::OKテイク :::そのシーンの収録において、演技的・音量的に満足の行くものが録れた場合のテイクを指す。 :::PDによってはOKテイクの基準もマル、二重マル、一部マル、など複数に分けられる場合もある。 ::予備テイク :::保険テイクなどとも呼ばれる。OKテイクが録れた後に、さらにつづけてテイクを重ねるときに使われる言葉。 :::後々の編集段階において、声録り時には気づいていなかった'''ノイズ'''や'''演技上の問題点'''、'''アクセント間違い'''などが見つかるという事態はまま起こることであり、OKテイクが使えなくなってしまうというリスクを避けるために予備テイクが収録される。なるべくあった方が良い。 :::なお、PDによっては予備や保険といった表現を嫌い、「満足のいくテイクは録れたけど次はもっといい演技をしよう!」という考え方で同様にOKテイク後のシーン収録を続行する場合もある。 ::記録 :::一つ一つのテイクについて、録音しているDATのカウント数やID、MDのトラック数、DAWのファイル名などを記録する。 :::また、OKテイクかどうか、部分的に使えるところがあるか、などのメモ書きもされる。詳細は記録の項を参照。 ::ノイズ :::これが入ったら基本的に録り直しになる。詳細はノイズの項を参照。 ::確認 :::OKテイクが収録できたら、本当に演技的に優れているか、聞き逃したノイズなどが入っていないか、きちんと確認するようにすべきである。手間を惜しむと後で泣きます。 ::MD :::通常ドラマ収録はDAWを使って行われるが、ある程度習熟した[[ミキサー|ミキサー(役職)]]はMDも常に録音できるようスタンバイしている。これは万が一パソコンの過労によりDAWが異常終了したときやファイルが入ったHDDを落としてしまったときなど、不慮の事態により収録したはずの音声が帰らぬものとなってしまった場合への対策である。中には、リハーサル中の有り得ないミスや、収録の合間にキャストがふと発した奇声・名言集などが収められることもあり、プレミアがつく。 !!!関連項目 *ラジオドラマ *キャスト *演出 *技術 *声録り{{fn かつて収録は声録りと呼ばれていた}}